奄美の島唄

(くる)だんど節

 南大島のたいていのシマでは、「あさばな」「俊良主」「黒だんど」の三曲はセットになっていて、これらをうたってはじめて本格的な歌あそびに入るようである。なぜこの三曲が選べれるのかということについては、よくわからない。
 「黒だんど節」は、ふつう
○歌ちあめ 黒だんど節ぐゎで 歌ちあめ イトゥどやる 磯山(いしょやま)戻りぬ イトゥどやる
 (歌であろうか。黒だんど節なんて歌であろうか。あれは仕事歌のイトだ。磯や山から戻ってきた人のやるイトだ。)

※坪山

という歌詞から打ちだすことが多い。これにもあるように、誰でもハナウタまじりにうたえそうな感じがするが、ウタシャは「本格的にこれをうたおうとすれば、ひじょうにむずかしく、骨がおれる」ということをよくいう。
 ところで、この「黒だんど」の意味であるが「空の黒づみ」をいっていることはたしかであろう。
 文英吉氏はその著書の中に、大熊辺の子守りの女の子がうたいだした歌として
○黒だんど 仲勝川内(こっち)ぬ 黒だんど 喜びじゃ 栄多喜(えたき)主や喜びじゃ 宮まちあごぐゎや 泣きまえじゃ
 (空が黒づんで来たぞ。仲勝川内のへんの空が黒づんで来たぞ。栄多喜主は砂糖車がまわせるといって喜びだ。宮まち姉さんは、また砂糖絞りの仕事ができたといって泣きたくなるよ。)

※文

の歌詞をのせておられる。
 また、「黒だんど節」は、もともと「雨乞い」の時の歌だったと伝える所があり、次のような文句を残している。
○黒だんど 雨乞い(ねご)たんと 黒だんど 喜びじゃ しまじま人達(ちゅんきゃ)ぬ 喜びじゃ
 (空が黒づんで来た。雨乞いを願ったら空が黒づんで来た。喜びだ。しまじまの人達は喜びだ。)

※稲田

 なおこの歌は、島本来の「8886調」歌詞はうたわれず、「585調」が上句、下句となってうたわれるのが特徴であるが、最近の研究ではヤマトの「75調」がもととなっていることが分った。ともかく世情を敏感にキャッチした歌詞がよくうたい込まれ、戦中戦後の竹ヤリや、原子バクダン、マッカーサーまで登場する歌詞が、今もうたわれていることは周知の通りである。

<参考>
 この歌でよくうたわれる歌詞と、うたい方の例。
()れよ舟 白帆や巻きゃ巻きゃ 走れよ舟 戻しぬゆめ 黒潮や乗り出ち 戻しなゆめ
 (走れよ舟、白帆を巻き巻き走れよ舟。戻してなるものか、黒潮に乗り出したからは、戻してはなるものか。)
/~ハレイはれよふね ハレイしりゃほやまきゃまきゃ はれィよふねィ
 ヨハレイしりゃほやまきゃまきゃ はれよふね
 (なつかしみくいぬ ちょなまいぢて)
 ハレイもどしなゆめィ ハレイくるしゅやぬりだち むどしなゆみ
 ヨハレイくるしゅやぬりだち むぢなゆめ

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Last-modified: 2012-03-06 (火) 15:43:04 (3564d)