奄美の島唄

よいすら節(一名「舟ぬ高ども節」)

 最近は本土の歌手によってうたわれ、テレビなどからも流れてくるようである。また小中学校の器楽クラブでも、よくこの曲がとりあげられ、美しく演奏されている。奄美のしまうたが、日本民謡としてポピュラーになるのは、(それが良いことかどうかは別として)おそらくこの唄をのぞいて、突破口となる曲はないであろう。
 「ヨイスラ節」というのは、いうまでもなく、この歌のハヤシ詞からとられた曲名。「舟ぬ高ども節」は、もと歌の打ちだしの文句からつけられた曲名である。
○舟ぬ高艫に いちゅる白鳥ぐゎ 白鳥やあらぬ うなり神がなし
 (舟の高どもに、とまっている白鳥。いやあれは白鳥ではない。舟旅を守る姉妹神だ。)

※福島

 これが次のようにうたわれる。
/~ふねぬたかどもにヨイスラ ふねぬたかどもにヨイスラ
 いちゅるしりゅどりぐゎスラヨイスラヨイ
 (スラヨイスラヨイ)
 しりゅどりやあらぬヨイスラ しりゅどりやあらぬヨイスラ
 うなりがみがなしスラヨイスラヨイ
 この歌詞は、沖縄の「白鳥節」のもと歌である。かつて柳田国男や伊波普猷などの民俗学者が、南島のうなり神信仰(女性に霊力を認める信仰)を説明するために、よく引用されたため、むしろその方が有名といえよう。いずれにせよ、もと歌がほとんど同じ歌詞であるため「ヨイスラ節」と「白鳥節」を同じ系統の歌だと思っている人がいるが、そういう根拠は全くない。
 沖永良部に、もと歌は全く別だが、同じようなハヤシ詞と反復形式でうたわれる「シュラヨイ節」(一名「いしん頂節」)という歌があることなどを考えると、大島の「スラヨイ節」の場合も、従来からあった曲に、いつか「舟ぬ高どもに〜」の歌詞が結び付き、それが有名となったと見るべきだろうと思う。
 曲の系譜はともかくとして、この歌詞について面白い解釈をした人がいた。古仁屋在住で今はなき隠れた島歌研究家、朝崎辰恕氏で、この人は「この歌にある白鳥は、城装束をしたノロを指していたに違いない。」というのである。かつて奄美のノロ(祝女)は首里王朝の管轄下にあり、島からも新任のノロは正式の免状を貰うために首里参りをしたものだといわれる。朝崎氏は、この時のノロの舟旅の姿を想像されたものであろう。

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Last-modified: 2012-11-06 (火) 20:30:08 (3272d)