奄美の島唄

マンコイ節

 歌詞のあいまあいまに入るハヤシ詞から付けられた曲名である。
 打ち出しの文句は特別に決まってないようであるが、例えば、
○うらきやしゃあてど 恋いやりしちゃる きもちゃげぬ加那や ()目ぬ見らぬ
 (さびしくても、恋の伝言をする。かわいそうな恋人を私の目では見えない。)

※重枝

のような文句が
/~うらきゃしゃあてどヨーマンコイ きいやり(スラスラ)いやりしちゃる
 マンコーイ トートマンコーイ (トジャマヌ ドッコイ)
 きもちゃげぬかなやヨーマンコイ わーめや(スラスラ)マタめやめらぬ
 マンコーイ トートマンコーイ
と、うたわれる。
 「マンコイ」の意味は、今日不詳であるが、かつて福島幸義氏が「満恋」という字を当てられたことがある。「うんにゃだる」の項でも紹介した「○○主と○○がマンコイ(....)する夜は〜」といった文句から、恋のやりとりを考えられたものである。「マンコイ」は「マグワイ」の(婚姻)の訛りだろうという人もいるが、この流れをくむ説というべきであろう。
 ほかに「節田マンカイ」「秋名マンカイ」などでいう「招く」意だという説もあって興味はつきないのだが、いずれも定説といわれるまでにはなっていない。
 なお打ち出しの文句は決まっていないとはいったが、この唄では何か旅と関連した歌詞がうたわれる傾向はないだろうか。
○港口がでや 加那に送られて 渡中乗り出せば 潮風(しゆかぜ)頼も
 (港口までは恋人に送られて、海の渡中に乗り出してしまえば、潮風にまかそう。)

※築地

○こうじゅん主ややまと いし加那や真住用(ますみ) 黒潮(くるしゆ)ひだめて 思いぬ()てさ
 (こうじゅん主は今、内地にいる。いし加那は住用。黒潮でへだてられ思いが苦しい。)

※福島

このような歌詞である。
 ここで「マンコイ節」は、かつて人を旅に送り出す歌ではなかったかという想像がなされ得るのである。前項「うんにゃだる節」で述べた、おそらくこの歌の親戚と思われる徳之島の「マンカイ玉」は、今でも、送別の歌としてよくうたわれている。ますます無関係とはいえないわけである。
<参考>
 築地俊造氏は「昭和五十四年 日本民謡大賞」(日本テレビネットワーク協議会主催)で、この歌をうたって日本一の栄冠に輝いた。うたった歌詞は次のものである。
○歳や()て行きゅり 先や定まらぬ 荒海に浮しゅる 舟ぬ(ごと)
 (歳は寄っていくものの行く先が定まらない。ちょうど荒海の中に浮いている舟のような身上だ。)

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Last-modified: 2012-03-09 (金) 16:17:27 (3561d)