奄美の島唄

やちゃ坊節

○やちゃ坊ちばやちゃ坊 むぞな生れやちゃ坊 やちゃ坊きもちゃげさ 山ぬ育ち
 (やちゃ坊といえばやちゃ坊、可哀想な生れのやちゃ坊。やちゃ坊可哀想。山の育ちだ。)

※泊

 島歌を知らない人でも、島人(しまんちゅ)だったら「やちゃ坊」の名を知らない人は、先ずいないであろう。島歌にうたわれる人物は「かんつめ」や「うらとみ」など概して悲劇の女性が多いが、「やちゃ坊」はちがう。
 伝説によると相当な悪さもしたようだが、時には義賊のようなこともやったようである。けだし奄美のカルチャー・ヒーローといってよいであろう。
 この「やちゃ坊」という人物、いったい何処の人で、いつ頃の人なのかとなると、多くに口碑はあるが確証というのは、まるでないというのが本当のところである。
 実はこの歌をうたう人の中に、「やちゃ坊」の「や」と「ちゃ」の間に、軽く「ん」を入れて「やんちゃ坊」とうたうクセのある人がいるが、案外、一般名詞の「やんちゃ坊」が固有名詞「やちゃ坊」に成長したものだと考えることもできるのではないだろうか。
 それでは各地の「やちゃ坊」伝説は、みなウソ八百なのかといわれそうだが、そうではない。いわゆる伝説が伝説を生むというケースで、いろいろな人物の話が一人の人物の話として集約され、それが次々とふくらんでいくということだった大いに考えられるのである。
 やちゃ坊伝説についてはこれまでとし、この歌の系譜を探るうえで注意すべきことが三つほどある。
 一つは瀬戸内方面では、この歌が正月などの祝い歌としてよくうたわれるということ。
 二つ目は、喜界島の古い「やちゃ坊」は、太鼓の入った、にぎやかな踊りうたになっているということ。
 3つ目は、実はこのうたのうたわれる反復形式が、「長あさばな節」と判を押したように一致するということである。承知のように「長あさばな」は大島の代表的な祝い歌であるが、同時に、ほかの歌と変った複雑な反復形式を以ってうたわれる歌である。これと合致するということは単なる偶然とは考えられないであろう。これからの興味ある研究テーマである。

<参考>
 この歌のうたわれ方。
/~やちゃぼうちばやちゃぼうヤーレイ
 もぞィな(ヤッサヌヨイヨイー)もぞなまれやィちゃぼうヤーレ
 ハレもぞィな(ヤッサヌヨイヨイ)もぞなまれやィちゃぼうヤーレ
 (もぞなまれやちゃぼうヤーレ)
 やちゃぼうきもちゃげさヤーレイ
 やまィぬ(ヤッサヌヨイヨイー)やまぬそだちヤーレ
 やまぬ(ヤッサヌヨイヨイー)やまぬそだちヤーレ

※泊
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Last-modified: 2012-03-09 (金) 11:14:53 (3562d)